2009.10.10 スタッフのつぶやき

水を飲むときに井戸を掘ってくれた人の気持ちを忘れない

当店ではお箸をより長く

大切にお使いいただけるように

拭き漆の塗り直し
を承っております


 

店頭や郵便等でお客様より

いろいろなお箸が送られてまいります


 

送っていただいたお箸によっては

木地の確保が難しいなどの理由で

現在は販売していないお箸もございます


 

送られてくるお箸には

お客様の「大切な想い」

込められているわけですが


 

商品や販売時期などによっては

販売したお店の店員や職人の

「想い出」があり、走馬灯のように

いろいろなシーンが

よみがえってくることがございます


 

そんな一場面


 

お店に「拭き漆の塗り直し」希望の

お客様がお見えになりお箸をお預かりしました


 

私がお預かりしたお箸を見てみると

かなり使い込まれていて

漆のほとんどが剥がれてしまい

木地が表れてしまっている感じでした


 

同じお箸は私が見渡せる店内には

見つからなかったので

知識の浅い私では

何の木地かもわかりませんでした(>_<)


 

でもとりあえず、シゲさんのいる

「工房」へ持っていきました


 

私:拭き漆の塗り直しをお願いします


 

シゲさん:ハイよ、、そのお箸、店頭?


 

私:はい、お客様からお預かりしたんですけど

このお箸、木地なんですか?(@_@


 

シゲさん:おぉ どれどれ

(手に取りながらじっくりと見て)


 

これはオノオレの削り箸だよ


 

私:え?(@_@;)、でも今、

店舗にあるオノオレとチョット

削りが違うような気がしますが・・(^_^;)


 

シゲさん:このオノオレはね7年位前

(開店間もないころ)

ある職人さんに作ってもらったお箸で

結構、人気があったんだけどね

一時期、オノオレの木地がなくなってしまって・・・


 

今はまたオノオレの木地が入手できたので

オレが製作して復活させ店頭に並んでいるけどね」


 

(シゲさんはとても懐かしそうにそして愛おしそうに

お客様からお預かりしたお箸を見ています)


 

私:じゃ、よろしくお願いします。


 

お箸をシゲさんに預け、私はお店に戻りました


 

閉店間際、その日の作業に一区切りつけたシゲさんが

工房からお店に来て語りだしました。


 

そして私が先ほどのお箸を持って行った時に感じた

「懐かしさ」「愛おしさ」の理由が

初めてわかりました


 

「あのお箸を見ていたら当時(7年前くらい)の事が

いろいろよみがえってきてね。。

家庭のこととか・・仕事のこととかで

個人的に悩んでいてね


 

当時を振り返ると色々つらかった

それに比べれば今は幸せなんだなぁと


 

今の自分に言い聞かせているような

気持ちになったんだよ


 

それにしてもこのお箸を、

ここまでお使いになってくれたお客様に対して、

大袈裟ではなく、感動すると同時に

「本当に有難うございます」

と言わせて頂きたい気持ちだね


 

モノを大切にする心と

温故知新ではないけれど、今までの環境が

今の自分やこれからの自分を支える礎になっていることを

再認識させて頂きました


 

また、いつかこのお箸の拭き漆の塗り直しを

やらせて頂ければ幸せだよね。」


 

お店にいるスタッフの誰もがみんな

シゲさんの想いを受け止め

お客様への感謝の気持ちを持った瞬間でした。